高校野球100周年「栄冠は君に輝く」収録取材レポート

2015年5月17日

2015年夏の高校野球で使われる、「栄冠は君に輝く」の収録の取材に行ってきた。今回の演奏は、八王子学園八王子高校。合唱は、東京と神奈川の高校生。総勢約400人による、壮大なスケールの歌と演奏。


壮観!

詳細はこちら。

「栄冠は君に輝く」高校生が歌い演奏 夏の大会へ収録(朝日新聞デジタル)
http://www.asahi.com/articles/ASH5J4K9TH5JULOB00L.html

昨年、甲子園に取材に行った際、5回裏のオーロラビジョンに、愛工大名電の演奏と東海地区の高校生たちの歌声による「栄冠は君に輝く」が流れ、毎試合ごとに釘付けになって見ていた。美しい演奏と歌声。何度見ても飽きず、白熱の試合の合間の、一服の清涼剤となっていた。

その演奏を、今年は東京と神奈川の高校生たちが担当すると聞き、収録の日をとても楽しみにしていたのだ。

この日初めて、参加者全員が集まり、何度かのリハーサルの後に本番の収録。今年は高校野球100周年という記念すべき年。演奏の前に、100年の歴史を振り返る映像が流れた。


昨年の愛工大名電の演奏風景

100年ってすごいこと。全日本吹奏楽コンクールは今年で第63回。高校野球のほうがずっとずっと古いのだ。

このメンバーで初めて合わせる「栄冠は君に輝く」、最初からとても上手だった。練習期間は約2週間。安定感のある歌声と演奏が、指導者の指示で、みるみるうまくなる。もっともっと感情がこもり、さらにみずみずしく、素晴らしい音楽に仕上がっていく。

この歌は昔の歌なので、難しい言葉も多い。
特に、3番の歌詞、

「緑濃き しゅろの葉かざす」

は、「しゅろ(棕櫚)の葉ってなんだ?」と、わたしも常々思っていた。

東京都合唱連盟の三好草平先生が、「みんなしゅろの葉とかわからないと思うけれど、この葉は、昔、キリストをしゅろの葉をかざして迎え入れたというくらい、伝統的な歴史のある葉っぱなんです。もっといきいきと歌ってください」

といった説明をし、客席で聴いていたわたしも「そうなんだー…!」 と目からウロコ。

「しゅろのは」という、ただの音だけで歌うのと、意味がわかって歌うのとでは、感情の込め方もまったく違ってくる。

全員でイメージを共有するということは、とても大切なことなのだ。
はるかに深みが増してくる。

いよいよ本番。全部で3テイク。もう、聴いていて目がうるんでしまった……。100周年の記念すべき大会で、このような形で高校野球に携われるなんて、なんと素晴らしいことか。

最後にコメントしていた各校の先生方もおっしゃっていたけれど、「僕も一緒に歌いたかった」って、まさに。わたしもあの場に混ざってファゴット吹きたかった……!

府中西高校の合唱部顧問の先生のコメントも、とても心に響いた。

「20年後、どこかで飲んでいるときに、『あれ、あの場にいたの? わたしも歌ってたんだ!』といったこともあるかもしれません。それくらい、一生の記念に残る、素晴らしい機会になったことと思います」

といった趣旨のことをおっしゃっていて、高校卒業後20年って、まさに自分の年代。まさにまさに、北海道白石高校吹奏楽部時代のよきライバルだった、東海大四高校や遠軽高校の同期たちと、SNSで再会して飲みに行ったり昔話で盛り上がったり、とても楽しい。「こんな日が来るとはなぁ……」と、とても不思議な感じ。

今はSNSがあるので、一緒に歌った仲間たちと繋がり続けるのも難しくない。

一期一会の仲間たちと、よい思い出を残せるといいね、と、300人以上の高校生たちを見て強く思った。


終了後、「がんばれ高校球児!」的なコメントを録っているところ

他校の生徒たちと交流する機会って、そう多くはないから、こういう機会はほんとうに貴重。とてもうらやましかった。

高校野球100年目の「栄冠は君に輝く」、これからCMなど、いろんなところで流れる予定とのこと。早く見てみたい!

それにしても、いいものを見させていただきました。
主催の朝日新聞のみなさま、これからもぜひこの素晴らしい企画を続けていってくださいませ。

スタッフのみなさま、先生方、生徒のみなさま、おつかれさまでした!


【お知らせ】
・梅津有希子のTwitterはこちら
・最新情報はこちら

関連する記事

コメントを書き込む

必須入力

必須(公開されません)

任意