『甲子園ブラスバンドフェスティバル2023』を終えて

2023年6月18日

6月11日に開催された、阪神甲子園球場100周年記念事業「甲子園ブラスバンドフェスティバル2023」から1週間。ようやく、心身ともに落ち着いてきた。

これまでに、拙著『ブラバン甲子園大研究』を元にした、吹奏楽部による「ブラバン!甲子園ライブ」の開催経験があるキョードー東京とともに、わたしも制作側として携わることになり、準備を始めたのが、2022年秋のこと。

「開催日は、阪神タイガースの試合で甲子園を使わない2023年の6月10日か11日」

ということだけは最初から決められていた。

梅雨時期だから仕方ないとはいえ、とにかく天候に振り回された。
前日のリハーサルも雨で、終日レインコート着用。「明日、ほんとうにできるのだろうか」とスタッフ全員が思いながら、当日早朝に甲子園集合。朝5時に起きた瞬間からしっかり雨が降っていたので、「これは無理かもなあ……」「この8ヶ月の努力が無駄になるのか……」と思いながら甲子園へ向かったものの、12時の開場前にピタッと雨がやみ、無事開場・開演。

奇跡って起こるんだなと思った。
高校生たちの純粋な気持ちが、天に通じたに違いない、と。

各校吹奏楽部の素晴らしい演奏と、チアリーディング部や応援団による完璧なパフォーマンスで、フェスティバルは大成功に終わった。「バーチャル高校野球」で動画の無料アーカイブ配信もあるので、ぜひ見てみてほしい。

「バーチャル高校野球」
https://vk.sportsbull.jp/koshien/feature/brass_band/

昨年秋からのことを振り返ると、出場校はどうするか。演奏曲や構成はどうするか。お客さんはどの席で観るのか。生徒たちはアルプススタンドで演奏するのか、それともグラウンドで演奏するのか。そしてその頃、コロナはどうなっているのか。梅雨時期だけど、天気は大丈夫なのだろうか。打楽器、ティンパニやマリンバは持ってくるのか。でも雨が降ったら濡れちゃうし。そもそもアルプスやグラウンドへの搬入もめちゃくちゃ大変だし……。

などなど、考えなければいけないことが山ほどあって、まずは何から手をつければいいのやら、という感じだった。

まずは関西地域の甲子園常連吹奏楽部に声をかけるも、「その日はすでに演奏会の予定が入っている」「定期演奏会と重なっている」など、残念ながら予定が合わなかった学校もある。会場のホールを抑える都合上、1年以上前から予定が入っているという吹奏楽部はとても多い。

そして何よりわたしが大切にしているのが、「応援が好きな吹奏楽部に出演依頼をする」ということ。

紆余曲折あり、最終的に出演していただけることになったのが、龍谷大平安、智辯学園、智辯和歌山、近江、履正社、尼崎市立尼崎、四條畷学園、習志野の8校。市立尼崎は、長年にわたり沖縄代表校の友情応援を引き受けているということと、夏の甲子園の開会式演奏を1年おきに大阪と交代で担当しており、甲子園に欠かせない吹奏楽部ということ。
四条畷学園は、2年連続で高知高校の友情応援を引き受けており、マーチングバンド部という特性上、屋外でのパフォーマンスに長けているという点でも、「お客さんも見応えがあるはず」と予測し、お声がけさせていただいたという経緯がある。


3月のグラウンド下見

2023年3月、センバツ取材で甲子園に行った際、試合が雨天順延になったタイミングでグラウンドの下見をさせてもらった。「6月11日も、雨が降ったらこんな感じで阪神園芸の皆さまが神整備してくれるんだろうけれど、楽器が濡れるのは防げないなあ……」などと考えながら。


パンフレット。表紙をめくるとわたしが現れるって、理事長か!笑

パンフレットの制作担当者から、「梅津さんの写真とコメントをください」といわれたので渡したところ、完成したパンフレットを控室で初めて開いたところ、こんなことになっていた。
どこかにちょこっと載るんだろうなとは思っていたけれど、まさかこんなことになっていたとは……。

ここって、吹奏楽連盟の理事長とか主催者の社長が載るスペースじゃないか笑。
いやー、見た瞬間びっくりして、思わず「えええええーー!!!???」と大声を上げてしまった。ゲストの前阪神タイガース監督・矢野燿大氏の隣の控室で。


前日リハ。近江高校


アルプススタンドの合同演奏リハ


智辯学園チア。アルプスではできない大技にも挑戦


習志野高校吹奏楽部顧問・石津谷治法先生と3塁ベンチにて

全日本吹奏楽連盟理事長でもある石津谷先生。

「えー! ベンチ入っていいの!? いい冥土の土産になるよ!!」

と、大変喜んでいらっしゃった。
野球のユニホーム姿で甲子園のベンチ入りする全日本吹奏楽連盟理事長って、おそらく、いや間違いなく史上初であろう笑。


『週刊文春』(6月22日号)にも掲載された

無事終わってほんとうによかった。心からホッとした。

冒頭、夏の甲子園を再現したオーロラビジョン下のファンファーレから始まり、『栄冠は君に輝く』の合同演奏、部長8人による選手宣誓、各校ごとの素晴らしいパフォーマンス。そしてふたたび、1塁と3塁に別れて『アフリカン・シンフォニー』『KOSHIEN FOREVER』の合同演奏。

『KOSHIEN FOREVER』合同演奏動画
https://youtu.be/jwveMIsOUas

吹奏楽部を両アルプスに半々ずつ振り分けることで、「指揮をどうするか問題」にぶち当たる。両アルプスに1名ずつ指揮者はいるものの、どうやって合わせるのか。
「オーロラビジョンに指揮者を映し出して見ながら演奏」というプランもあったものの、カメラワークやタイムラグなどがあり、ちょっと難しい。

スタッフが知恵を出し合ってたどりついたのが、「指揮者の先生にイヤモニを装着してもらって、クリック音を流し、それに沿って指揮をする」という作戦。

クリック音とは、いわゆる電子メトロノームみたいな「ピッピッピッピ」という音。

リハーサルで初めてやってみたけれど、「なるほど。いいアイデアですね」という声もあれば、「初めてやるので、正直振りにくい」という、ごもっともなご意見も。

本番ではうまくいって、心底ホッとした。

今後、球場でコンサートを開催し、スタンドを分けて合同演奏をする機会がある方は、ぜひ参考にしてください!笑

終演後は、「楽しかった!」「感動した」「涙が出た」「すごいよかった!」といったうれしい声が山のように届き、これまでの苦労がいっぺんに報われた。

準備にあたり、顧問の先生方には、数えきれないくらいさまざまな負担をおかけしてきたので、「私自身、夢の中にいるようでした」「生徒達も笑顔いっぱいで、大変満足度の高い1日でした」など、喜んでいただけてほんとうにうれしかった。

司会のABCテレビアナウンサー・福戸あやさんのキビキビとした進行も、とても頼もしかった。
ゲストの前阪神タイガース監督・矢野燿大さんも、「すごい!」「カッコいい!」「応援曲って、学校によって全然違うものなんですね」という、野球部OB、そして野球選手目線からの生の声で存分にお話ししていただいて、野球ファンのお客さんも楽しめたのではないだろうか。

とにもかくにも、「無事に終わってホッとした」のひと言です。

こんな大きな会場でのビッグイベントだっただけに、アドレナリンが出まくっていたのであろう。なかなか気持ちが落ち着かず、元の状態に戻るまで1週間かかった。


本番を終え、片付けが終わった甲子園にて

ありがとう甲子園!
そして、関わったすべての皆さま、ご来場いただいた皆さまに感謝申し上げます。

各校のみなさん、元気いっぱいの素晴らしいパフォーマンスをありがとうございました。

また夏、甲子園でお会いしましょう!


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