1冊全部ペペロンチーノという凄まじい探究心…!『男のパスタ道』(土屋敦)

2014年6月14日

All Aboutで「男の料理」ガイドも務める、料理研究家の土屋敦さんの新刊が発売。本を執筆していたのは知っていたのだけれど、そのテーマに驚愕……!!


1冊まるまるペペロンチーノ!!!(笑)

『男のパスタ道』(著:土屋敦/日経プレミアシリーズ)
http://www.nikkeibook.com/book_detail/26247/

帯に「前代未聞のレシピ本」と書いてあるけれど、まったくだ(笑)。どんな本かというと、「アルデンテとコシの違い」「塩はどれだけ入れるか」、「オリーブオイルは使うな」(えぇぇ!)、「究極のゆで方」などなど。気が遠くなるほどひたすら実験を繰り返している。特に「塩はどれだけ入れるか」。これはとても興味深い。どのパスタのレシピを見ても「沸騰したお湯1リットルに塩小さじ1でゆでる」だったり、「塩適量(分量外)でゆでる」などなど、「一体どれが正解なんだ」と思うくらいけっこうバラバラで。同書では、

0グラム(真水)、6グラム、10グラム、15グラム、20グラム、25グラム、30グラム、40グラム、50グラム

でパスタをゆでる実験をしている。塩の分量が多い場合は熱湯でゆすいだり、まぁとにかく手間がかかる。途中で「アレニウスの式」だの「水のモル沸点上昇」だの「ナトリウムイオンと塩化イオン」だの出てきて、「もー、科学とか苦手だからやめてー!」とへこたれそうになったと思ったら、「998ヘクトパスカル」が出てきて天気予報かよ! とか、「結局何グラム入れるとベストなのか結論はよ!」となるのだけれど、通して読んでみると、「やっぱりどの説明も省くわけにはいかないのだな」ということがわかる。

「オリーブオイルは使うな」は、普通はタイトルだけ見て「どういうこと!?」と思うだろう。だってパスタにはオリーブオイル使うのがあたりまえでしょと。ところが土屋さんの結論は違う。彼が出した答えは意外なオイル。「それうちにある!」と妙にうれしくなってしまった。

「究極のゆで方」も興味深い。今まで、袋の表示通りにしかゆでたことがないし、そこに何の疑問も持っていなかった。でも、本書では水からゆでたり、パスタを半分に折ってゆでたり、水を減らしたらどうなる、水に一晩漬けてからゆでる、などなど「まぁよくも辛抱強く実験するなぁこの人は……」と、だんだんあきれてくるとともに(笑)、「この人のこの情熱と粘り強さのモチベーションになっているものは一体なんなのだろうか」と、人物像にも興味がわいてくる。

つまりは、今まで「パスタの袋や料理本のレシピにもそう書いてあるし」とあたりまえに思っていたことが、実は何の根拠もなかったり、あまり意味がなかったりと、「真実を追求することの意味」を考えさせられたというか。探究心って大事だなと思ったり。

実は、土屋さんとはFacebookでお互いに励まし合いながら原稿を執筆していた。ちょうどわたしが書籍の原稿を書いていた時期と、土屋さんがこの本を書いていた時期が一緒で、「今日は4000字進んだ」「僕もちょうど同じくらい進みました!」とか、「ゴールの8万字が見えなすぎて気が遠くなる……」とぼやいたら、「梅津さん、僕もまったく同じです」といった具合に励まし合い、本を書くことがいかに大変かということを分かち合い、お互いに同じくらいの時期に晴れて脱稿。

と思ったら、土屋さんの本はもう発売されているー!!! わたしの本は8月刊行予定なのに(笑)。新書って本作るスピード感がぜんぜん違うんだな……などと、新書と単行本の違いに思いを馳せたり。

タイトルに『男のパスタ道』とある通り、この本は女性にはなかなか書けない本だと思う。「料理は科学」ということがよくわかるし、ペペロンチーノ以外にも応用が出来て、料理に対する思考が鍛えられるはず。ドラマ「ごちそうさん」でも悠太郎がスコッチエッグの中の卵が半熟になるよう科学的に解説してたし、いくつか出ている「料理と科学」がテーマの本は、ほとんどが男性著者。やっぱ男の人が追求したくなるジャンルなのかな。

わたしは完全に感覚の人間なので、普段あまり考えずに勘で料理を作っていたけれど、なるほどなと思う部分が多々あった。時には常識を疑うことも必要なんだなぁと。

「勝負ぺペロン」「休日ぺペロン」「時短ぺペロン」など、レシピはペペロンチーノしか載ってないけど(笑)、ライフスタイルに合わせた究極のペペロンチーノの作り方を知ることが出来るって、新しい。食べものがテーマの読み物が好きな人にもおすすめのです。勉強になる!


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