耐震不足で“聖地”に終止符。吹奏楽の甲子園「普門館」
2013年11月14日
Yahoo!ニュースを見ていたら、急上昇ワードに「普門館」の文字が。
「まさかついに……」と思ったら、そのまさかだった。
記事はこちら。
普門館、消える音色 耐震不足の吹奏楽「聖地」、改修を断念
全日本吹奏楽コンクールが行われる、「吹奏楽の甲子園」とも呼ばれる普門館。
耐震問題で、2012年からは名古屋国際会議場で行われている。
普門館は、改修か、建て直しかとずっと議論されていたけれど、
本日、ついに断念という結論が出てしまった。
名古屋国際会議場へは2年連続取材で行っているけれど、
普門館のような張りつめた緊張感は感じない。
普門館の場合は、環七から向かってその姿が見えてくるだけで、
緊張で背筋がピンとしてくるのだ。
出場するわけでもないのに。
時々無性にこの巨大な普門館が見たくなり、年に一度くらい方南町へと向かう。
この写真も、つい数日前に見に行って撮ったもの。
わたしは札幌白石高校時代、
1992年の第40回と93年の第41回の全日本吹奏楽コンクールで、
北海道代表として、この普門館のステージで演奏した。
いずれも金賞を取ってみんなで号泣した、大切な思い出の地。
まさに、「吹奏楽の甲子園」だ。
普門館で最後に全国大会が行われたのは、2011年の秋。
母校も出場し、監修している『青空エール』の取材で舞台裏まで密着した。
本番前、最後のチューニングをした鏡張りの大部屋。
階段を何度も上ったり下ったりしながら、静かに移動する光景。
前の団体の演奏を聴きながら、ドキドキしながら待機する舞台そで。
観客席に設置されているエスカレーター。
そして、何ともいえない威厳のある、黒光りのあのステージ。
まぶたに焼き付いている、普門館の景色。
>全日本コンクールは来年まで、名古屋国際会議場(名古屋市)で開くことが決まっている。
>連盟は「都内で同規模の会場を確保するのは難しい。
>再来年以降も当面は名古屋で開く予定だが、将来的には未定」としている。
と記事にあるように、当面は名古屋国際会議場で行われるが、
関係筋によると、「全国各地の会場を持ち回り」という案も出ている模様。
一番の問題は、各校の団体バスや楽器運搬用のトラックを停める駐車場だろう。
都内で多くの車を停められるホールは普門館くらいで、
全国的に見ても、そう多くはないはずだ。
ちなみに、普門館の客席数は約5000席。名古屋国際会議場は、約3000席。
全日本吹奏楽コンクールを主催する全日本吹奏楽連盟にとっても、
2000人のチケット収入の差は大きいはず。
でも、普門館の条件を満たすホールは今のところないのが現状だ。
記事によると、
> 教団は「苦渋の決断だったが、吹奏楽の『甲子園』として中高生に長く愛され、
>全国的に認識されたことに感謝したい」とコメントした。
>一方、館内の会議室や事務室などは震度6~7の地震にも耐えられることがわかったとして、
>当面は使用を続ける。建物を取り壊すかなど、今後については未定だという。
とのこと。
取り壊しだけは、なんとか避けてほしいなぁ……。
平日に普門館を見に行くと、シーンとして駐車場もガラガラで、どこか寂しげ。
普門館が一番輝くのは、やっぱり全国大会が行われる
10月後半の土日だなぁ…と、改めて思った。
ありがとう普門館。
でも、まださよならではないね。
しかし切ないニュースだ。
でも、また来るよ!
※追記
この記事を書いた翌日、普門館の思い出を書きました。
よろしければ、こちらもぜひ。『ありがとう、普門館』。
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