おもしろい! 元気が出る!『重版出来!』
2013年4月20日
おかげさまで『終電ごはん』10刷、重版出来です!
「重版出来!」って、いってみたかったのです!w
昨日、手元に10刷が到着。
重版が出来ると、版元が見本誌を送ってくださるのだ。
奥付。感慨深いなぁ……
重版がかかるたびに、多くの方に手に取っていただけて
とてもうれしく思っていたのだけれど、
最近話題のこのマンガを読んで、
その気持ちがもっともっと強くなった。
その名も、『重版出来!』(ビッグ コミックス/小学館)。
「じゅうはんしゅったい」と読みます。
すみません、ずっと
「じゅうはんでき」と読んでいました……orz。
黄色い表紙が目印!
「全ての仕事人へのエール漫画です!!!」
という説明文の通り、とても熱いお仕事マンガ。
1冊のマンガが、読者の手元に届くまで。
つまり、マンガがどうやって売れていくのかを
めちゃリアルに描いた作品。
編集者、営業、宣伝、製版、印刷、デザイナー、取次、書店員…。
たくさんの裏方たちによって、より多くの人の手元に届く。
たとえば、部数の話。
初版5000部では、全国の書店に行き渡らず、
どうしても棚差しになってしまう。
わたしは、2年前に自分の本を出すまでは、
この意味がよくわかっていなかった。
新刊はどこの書店でも買えると思っている人もいると思うけど、
どこのスーパーでも馬路村のぽん酢が買えないのと同じように、
数が少ないと、全国の書店には並ばない。
入荷したとしても、平台に並べるだけの冊数がなく、
結果として棚に1冊のみ、ということになる。
棚に1冊ということは、
人目にほとんど留まらない
↓
売れない
というスパイラルとなり、
どんなにいい作品だったとしても、売れなければ重版はかからない。
「いい本だから売れる」
「おもしろいから売れる」
という訳ではない。
たとえば、
『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の、
初版30万部という脅威の部数は、
超売れっ子の村上春樹だから可能なことであって、
どんなにいい作品だったとしても、
無名の著者がいきなり何万部も刷ってもらえることはない。
じゃあどうやったら売れるのか、重版がかかるのかというと、
編集や営業、書店員など、
本に関わるすべての人たちの努力によって、初めて「売れる」。
『重版出来!』を読んで、『俺物語!!』
(作画・アルコ/原作・河原和音)が
売れて行った過程を思い出した。
今でこそ各マンガ賞総なめの『俺物語!!』も、
最初は知る人ぞ知る作品、という感じだった。
自分が監修している、河原和音先生の『青空エール』と
担当編集者が同じ人ということもあり、
よく『俺物語!!』の裏話を聞いていたのだけれど、
まさに『重版出来!』の世界だった。
本に出てくるように、
編集さんや営業さんが試し読み冊子を手作りし、
作品を気に入った熱心な書店員さんが、
すごいPOPやディスプレイを作ったり、
版元側も、ノベルティのTシャツを作って書店員さんにお渡ししたり。
ツイッターで座談会をし、サイン会を開催し、
どんどん『俺物語!!』旋風が巻き起こっていった。
『重版出来!!』に
「売れる漫画は愛されてます」
というセリフが出てくるんだけど、
まさにその通り、という感じだった。
このマンガは、本作りに関わるすべての人が
読むべき作品だと思う。
ライターも、雑誌の仕事しかしていないと
本の流通のこととか、ほんっと知らないからね。
まさに、自分がそうだった。
特に、本出したことのある著者は必読。
出版業界の構造や、
「本はこうやって売れるんだ」ということがよくわかるから。
よく、書店で他の本の上に、
棚差しの自分の本置いてくる著者がいるけど、
あれ絶対やっちゃダメだよ^_^;。
迷惑なことこの上ない。
本に関わる人以外でも、すべての働き人におすすめ。
とても熱いお仕事ドラマは、読んでて元気が出てくるはず。
「自分もがんばろう!」って思えるから。
あ、ちなみに別冊マーガレット編集部では
重版分が出来上がっても、マンガのように
「重版出来(しゅったい)!」と声に出していったりはしないそう。
「ほんとにしゅったいっていってるんですか?」って、
気になって聞いちゃったよw
『終電ごはん』の話に戻ると、、
発売から10カ月経つにもかかわらず、
いまだにたくさんの書店で大きく展開してくだっている。
三省堂有楽町店
この温かい手作りPOPを見たときは涙出た……(/_;)
書店員さんにお礼を言い、
有楽町に行ったときには必ず立ち寄っている。
ブックファーストルミネ新宿店
こちらのお店も、店内のあちこちで展開してくださっていた。
一時期は、まさかの総合ランキング1位だったこともある。
今回の10刷も、この本に関わったすべての方の努力があったからこその結果で、
ほんとうにありがたいと、改めて思いました。
ということを、ガツンと感じさせてくれた
『重版出来!』に感謝です。
とてもいいマンガなので、ぜひ多くの人に読んでほしい!
しかし、部活とか仕事ものとか、熱いマンガが好きすぎる(笑)。
コメントを書き込む