グサッと刺さる、「自分ごと化」のものづくり
2013年1月5日
帰省中に買い物に行った、東急ハンズ札幌店で、
「プロ・業務用リップクリーム」というのが
店頭で猛プッシュされていた。
「バスガイドやフルート奏者も愛用」
「何を持ってプロ・業務用?」と一瞬首をかしげたのだが、
横に飾ってあった北海道新聞の取材記事に
「天然素材を使用。楽器につきにくく、フルート奏者も愛用」
と書かれていた。
なるほど。
バスガイドやウグイス嬢は、
正直ほかのリップクリームでもいいと思うけれど、
楽器奏者のリップクリーム選びは難しい。
検索してみると、「管楽器奏者専用リップクリーム」
というのが出てくるけれど、
おそらく楽器店でしか買えなさそうな感じ。
無数にあるリップクリームも、
「プロ・業務用」とうたうことで、
大きく差別化できるんだなぁと思った。
YAMAHAによると、日本の現役吹奏楽人口は約55万人。
「フルート奏者愛用リップクリーム」は、
管楽器奏者にはめっちゃ響くコピーだよ。
フルートが大丈夫なら、「金管も大丈夫」って思うもん。
(でも、「リード楽器はどうなんだろう」とも思うけれど)
と、正月早々、ハンズの店頭で興味津々なのであった。
こういうことって、本づくりにもとても共通してると思う。
「誰のための本なのか」。
『終電ごはん』は、その点を明確にすることにこだわった。
●いつも終電まで働く人のための簡単自炊本。
●夫から、急に「今から帰るけど何かある?」と言われる
奥さんのためのレシピ本。
書店に行くと、洪水のように本があふれている時代。
出版業界で働く自分でさえ、
あまりの本の多さにクラクラするもの……(-_-)。
だからこそ、
「一部の人に、グサッと突き刺さる本」じゃないと、
目に留まることすら難しいと思うのだ。
「自分のための商品」「自分のための本」
つまり、いかに「自分ごと」と思ってもらえるかが大事。
この間取材した『現代用語の基礎知識』の編集長も、
「流行語が生まれにくい時代」と言っていた。
昔は、「巨人大鵬卵焼き」というフレーズを
国民全員が知っていたけれど、
それは、みんながテレビに夢中になっていたから。
今は、みんながみんな、テレビを見ている訳ではないから、
圧倒的な流行語が生まれにくい。
本も、それと一緒だと思う。
だからこそ、ニッチなコンテンツにこだわる。
「マスを狙う」のが難しい時代だからこそ、
スキマ産業にこだわって、
これからも
「誰かのためになるコンテンツ」
「楽しいコンテンツ」
を、たくさん生み出していきたいと思います。
本年も、よろしくお願いいたします!
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