普門館の寄稿記事と、『青空エール』取材秘話

2018年10月4日

かつて、吹奏楽コンクールの全国大会の会場だった、「吹奏楽の甲子園」こと東京杉並の普門館。


大聖堂側から見た普門館。なかなかレアな角度

耐震問題で改修を断念し、残念ながら今冬解体されることが決定しているが、この度佼成新聞デジタルに、普門館への想いを綴った原稿が掲載された。

特集・ありがとう普門館(4)
『青空エール』の監修者、ライター 梅津有希子
https://shimbun.kosei-shuppan.co.jp/tokusyu/22983/2/

もともと、立正佼成会の会報誌「佼成」から依頼があったもので、この度webにも転載されたというもの。
「編集部全員一致で、普門館に関する原稿はぜひ梅津さんに書いてほしい」とメールが来たときは驚き、そして大変感激した。
子どもの頃から憧れてやまなかった普門館の母体から執筆依頼がくるなんて、当然ながら12歳の頃は考えもしなかった。

「改修を断念」と発表されたのが5年前の2013年のこと。その際に、こんなブログを書いた。

「ありがとう、普門館」
http://umetsuyukiko.com/log/2213

このブログがきっかけで、同年12月に朝日新聞の「忘れない普門館 吹奏楽コンとともに40年」という記事で取材を受けた。まだブラバン応援の仕事など何もしていない頃。一部を引用する。

ブログで吹奏楽情報を発信しているフリーライターの梅津有希子さん(37)は、札幌白石高校吹奏楽部の一員として2、3年のときに普門館で演奏した。

独特の光を放つ黒い舞台の床、2階席まで埋まった大観衆……。東京で暮らすいまも、思い立つと普門館に足を向ける。

「外壁が見えてきただけでドキドキする。全国大会を目指して部活動するうちに、目標に向かって努力することを知った。いまの私を作ってくれた普門館にありがとうと言いたい」

この新聞記事や、日頃からあちこちで普門館普門館と発信していたのが編集部にも伝わっていたようで、今回はつくづく、発信することの大切さが身にしみた。発信していなければ、自分の普門館への想いに気づいてもらうことなんて出来なかっただろうから…。

監修していた吹奏楽漫画『青空エール』の最終巻(19巻)でも、普門館が登場する。河原和音先生から、「最後に普門館を描きたいが、資料用の館内写真、何とかならないだろうか」と相談を受け、ダメ元で立正佼成会に問い合わせてみたところ、「そういう事情でしたら」と快く撮影させてくださったという経緯がある。


外観と正面玄関


大リハーサル室


舞台から見た客席

全国大会当日の動きや照明をすべて再現してくれて、感動のあまり胸がいっぱいってものじゃなかった。
ロビーに集合し、大リハーサル室に移動してチューニング。舞台袖、そしてあの黒い舞台。

いつも審査結果発表のあとの20時過ぎに、「普門館の周りは住宅街なので、終了後、外で歓声を上げたり、先生に『ありがとうございました!』など、決して大きな声を上げないように気をつけてください」と全日本吹奏楽連盟の偉い人から毎年注意があったものだけれど、あれは普門館側からいわれていたことではなく、「無償で貸してくれている立正佼成会に迷惑をかけてはならない」という、吹奏楽連盟側の気遣いだったということもこの時に初めて知った。「普門館からそのようなことをお願いしたことはないんですよ」と、スタッフの方がにこやかにおっしゃっていたのが印象的だった。

コンクールのあとって、どこの会場でもみんなキャーキャーいうからなあ…笑。笑ったり泣いたり、先生や先輩に感謝の言葉を述べたりと忙しい。

今冬の解体前に、11月5日(月)から11日(日)まで、舞台を一般開放という素敵すぎるイベントを開催してくれる。

「普門館からありがとう~吹奏楽の響きたちへ~」
http://www.kosei-kai.or.jp/fumonkan/

ほんとうに、最後まで普門館はやさしいな、素敵だなと心底思う。どれだけ吹奏楽ファンが普門館を愛していたか、ということがしっかり伝わっていたのだろうな…泣。

先日仕事で訪れた西新宿の高層ビルからも普門館が見えた。


これが消えてしまうのか…

解体後、緑地になるというのも普門館らしいなと思った。
マンションとかにならなくてほんとよかった…。

昔、全国大会で普門館の床が配られたことがあった。甲子園の土みたいに。


宝物

今年の春、母校札幌白石高校の吹奏楽部同期が東京に来たので、「普門館見に行こうよ」と一緒に行ったらめちゃくちゃ感激してた。卒業以来って。「大人の修学旅行だね」って。


我が青春のすべて!

トランペット吹きのマキちゃん。『青空エール』の主人公・小野つばさのモデルの1人。特に2、3年のつばさは彼女の実話が多い。

普門館最後の年にあのような記事を書かせてもらえて、「我が部活人生に悔いなし!」と改めて思った。
普門館から認めてもらえたような気がして、ようやく引退の気分…笑。

11月、普門館行こう!
まさに全国大会の季節。普門館には秋晴れがよく似合う!


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