『本の雑誌』9月号の校正・校閲特集を読んで

2013年8月20日

『本の雑誌』9月号(No.363)の特集、
「いま校正・校閲はどうなっておるのか!」が読みたくて、さっそく買ってみた。


「イカ納豆からまり号」

毎号こんなタイトルがついていたのか。知らなかった(笑)。

数カ月前、わたしのブログのこの記事が、めちゃくちゃバズッたことがある。

NAVERまとめ「新潮社の校閲すごいっ!校閲のプロの仕事っぷりが話題」を読んで思ったこと

石井光太氏のこの出来事が、
今回の特集のきっかけになったのかもしれないなぁと思ったり。

校正・校閲さんにはいつも大変お世話になっております。
この方たちがいないと、本や雑誌は恐ろしくて世の中に出すことが出来ません。

そんな校正・校閲の現場は、いまどうなっておるのか!

なかなか特集されることのないテーマだけに、興味深く読んだ。

まずは、巻頭の校正・校閲担当者座談会。
登場するのは、新潮社の井上孝夫さん、早川書房の関佳彦さん、鷗来堂の柳下恭平さん。

井上さんと関さんは、校閲ひと筋30年以上。柳下さんは、37歳という若さで
校閲会社を作ったという方。

「鷗来堂」、ゲラに社名が書かれているのを見たことがある。
ライターや著者が校正者と直接会うことはまずないけれど、
社名はよくお見かけする。

いつもお世話になっておりますm(_ _)m

新潮社って、校閲部60人以上いるのか……。
それでも全然足りないんだって。
広告や販促物とか、すべての印刷物が来るんだそう。

「縁の下の力持ち」

まさに、おっしゃる通りでございます。

「作家が見ても怒らないよう、丁寧に書く」
という点も、ものすごくわかる。

だって、いつも校閲さんチェック済みのゲラを見るたびに、
みなさんがめちゃくちゃ気を使って赤字を入れているのがよくわかるから。
作家や著者の気分を害さないように気をつけているのが、
端々から伝わってくる。

「なんだこの指摘は! 失礼な!!!」

と怒る書き手の人、少なくないんだろうな……。

わたしは、怒るどころか「なるほどね~」と感心するほうが多い。
「こんな細かい事まで調べてくれて、ありがたい」と。

坪内祐三さんや、椎名誠さんのエッセイも興味深い。
共通しているのは、
「コンピューターの登場によって、校正は変わった」
という点。

まったく同感。ぜひ読んでみてほしい。

最近よく、わたしが書いた原稿を読んでくださった校正者の方から、
取材先のHPをプリントアウトした資料が添付されて戻ってきたりするけれど、
必ずしもそのHPの文章が正しい訳ではない。
(むしろ素人が作っているHPなので、語句の統一など考慮していないケースも多々)

取材した自分の情報のほうが正しいので、
こういう場合は校閲さんの指摘をスルーする。

ネットで何でも検索できるようになってから、
校正・校閲の世界も大きく変わったんだろうな。

この特集は、本づくりに携わる人以外に、
ネットメディアの人にもぜひ読んでほしい思った。
いわゆるWeb編集者やWebライター、Webディレクターの方など。

紙とWebの両方で文章を書いている身としては、
出版物にはこれだけの労力と手間がかかっているということを、
もっともっと、広く知られてほしいなーと思った。

誰でも気軽に発信できる時代だから、なおさら。

「校閲部のみなさま、いつもありがとうございます」と、
改めて思わせてくれた特集であった。

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