大共感で一気読み!『家めしこそ、最高のごちそうである。』(佐々木俊尚)

2014年3月3日

ジャーナリスト佐々木俊尚さんの新刊『家めしこそ、最高のごちそうである。』(マガジンハウス)、めちゃくちゃおもしろくて一気読み!

佐々木俊尚さん公式サイト http://www.pressa.jp/


『家めしこそ、最高のごちそうである。』(マガジンハウス)

奥様のイラストレーター・松尾たいこさんが、Facebookの「松尾たいこファンページ」
佐々木さんが作った毎日のごはんの写真をアップしていて、「いやー、毎日健康的でおいしそうなもの食べてるなぁ」と眺めるのが日課だったわたし。

以前ご自宅でのごはん会に読んでいただいたこともあり、あの、美しく盛りつけられたおいしそうなごはんを、実際に食べる機会にも恵まれた。

その時、佐々木さんがおっしゃっていたことで印象に残っているのは以下。

「包丁とまな板があれば、大抵のものは作れるんですよ。いまは、アボカドをくり抜くためだけの道具とか、たくさんのキッチングッズが売っているけれど、そういうものを買い集めていては、すぐにキッチンにものがあふれてしまいます」

やべー! まさにうちにアボカドくり抜くヤツあるー……! しかも1回使っただけで放置……!!! (((( ;゚Д゚)))

このひとことで、ガツーンと目が覚めた。女性は、この手のキッチングッズが大好きだ。わたしは何でもかんでも買うほうではないけれど、それでも新しいキッチングッズが発売になると、ついお店でチェックしてしまう。でも、「特定の食材・用途のため」に開発されたグッズは、大抵使わなくなってお蔵入りしてしまうのも事実。

「包丁とまな板で大抵のものは作れる」

……おっしゃる通り。それからは、新しいキッチングッズは買っていない。今のところ(笑)。

といった、佐々木さんの料理に対する考え方や、普段作っている料理、味付けの考え方などなど、佐々木俊尚セオリーが満載の1冊。レシピ本というよりは、日本の食文化もわかる読み物。エッセイですね。でも、佐々木さんのレシピもたっぷり収録。めちゃオトク。

先日のごはん会でいただいた絶品料理たちも、全部レシピが載っている。


魚介のセビーチェ

野菜もたっぷりでさっぱりおいしい。


自家製ニラ醤油をかけた冷やっこ

常備しているというニラ醤油。かなり日持ちするそうで、ソテーしたお肉にかけてもおいしいだろうなぁ。


カラリと揚がったゴーヤーの天ぷら

カラリどころか、噛むとガリガリと音がするくらいパリッと揚がっている。衣に焼酎混ぜるのがコツなんだって!

そして〆は、大歓声が上がった華やかなちらし寿司。


テーブルに運ばれてきた瞬間「うわー!」と大歓声が

ぜーんぶ、本に詳しい作り方が載ってます。どれもとってもシンプルな作り方。
あんなにカンタンなのに、とってもおいしかった。

本の中で特に印象的だったのが、以下のフレーズ。

いくら高いスーツや高級ブランドのバッグで着飾っても、中身が伴っていないと、
すぐに相手に見破られてしまうそういう時代になってきているということなんですよ。
じゃあ、どうすればいいのか。
着飾らなくてもいいから、日常を大切にすること。
日常がだれに見られてもいいように、きちんと生活すること。
そして、食生活も同じなんです。

これほんと同感。
日常がきちんとしている人は、仕事もきちんとしている。簡単でも毎日旬の食材でごはんを作っていれば、自然と他のこともちゃんとするようになっていく。

いい“家めし”を食べていると、心も充実して明日への活力がわいてくる。

これは、『終電ごはん』でも伝えたかったこと。
毎日牛丼やコンビニめしばかりでは、心まですさんでくるからね。

佐々木さんは、「家では野菜中心の食生活を」と提案している。

美味しい野菜って、とても値段の安い材料なんですよ。
最近の居酒屋チェーンは恐ろしく安い店も現れてきてはいますが、
ちょっとしたお店なら、たいてはひとり二千円や三千円ぐらいを使ってしまいますよね。
コンビニ弁当だって、五百円や六百円はする。
でもファーマーズマーケットや道の駅で野菜を買うと、一食で千円や二千円もの量はとうてい食べられません。つまりわたしたちは野菜を料理する手間と引き替えに、居酒屋のつまみやコンビニ弁当を高い値段を払って食べているということなんです。

ほんとだ。いわれてみれば、たしかにそうだ。二千円分の野菜の量なんて、自炊だと一週間は持つんじゃないだろうか。

あと、やりがちなのが「今日何食べたい?」って質問。世の中の夫や子どもにこう聞いて、返ってくる答えは大抵「カレー」「ハンバーグ」「パスタ」「しょうが焼き」あたりではないだろうか(笑)。

いきなり「思いつく料理を」と迫られても、なかなか斬新な料理なんて思いつくものじゃありません。

おっしゃる通り。
わたしだって、もしも夫に「今日の夜何食べたい?」と聞かれたとしても、瞬時にメニューなんて出てこない。だいたい、うちで作る料理はその場限りの創作料理が多い。だから、二度と再現できないものも多い訳なのだが。

だから佐々木さんは、食材からメニューを決めることを提案している。

「今日はカレーにしよう」じゃなくて、「今日は大根を食べよう」からスタートしようということです。

うちもそうだ! 「芽の出てきたじゃがいもを、そろそろなんとかせねば」とか!

いや、佐々木さんはじゃがいもは芽が出る前に使い切っていると思うのだが、要は、このような考え方で献立を考えると、食卓に上るのは自然と旬の野菜が中心になる訳で。旬の野菜は安いし味が濃くておいしいし、栄養もあるしといいことづくめ。

本にも出てくるけれど、だいたい「1週間の献立を考えて食材を買う」というライフスタイルなんて無理すぎる…!!

わが家は、1週間の食材を宅配でまとめて購入しているので、冷蔵庫を見てから何を作るか考える。

でも、こうすると「冷蔵庫にあるもので何か作る」というクセもつくので、わたしはおすすめ。毎日買い物に行くって、けっこう大変なことだから。時間がもったいない。一週間で冷蔵庫がきれいにカラになると、「勝った……!!!」と思えるし(誰に?)、かなりの達成感が得られる。

第4章の「センスのよい料理とは」では、

「料理は見た目が九割と覚えよ」

と出てきます。これまた、まったくもって、その通り。

Facebookにアップされる佐々木さんの料理は、ほんとうに美しい。盛り付けがきれい、色合いがきれい。同じ料理でも、器や盛り付けでまるで印象が変わるから、「見た目が九割」はまったく同感。わたしも、日頃からできるだけきれいに盛り付けるよう心がけています。

「キノコ鍋がどす黒くならない方法」を知ることができたのも、めちゃくちゃうれしい。きのこをたっぷり入れたきのこ汁が好きなのだけれど、翌日にはどす黒くなってがっかりしてたから。

以下の連載でも、本書の一部を読むことができます。

HONZ【連載】『家めしこそ、最高のごちそうである。』http://honz.jp/articles/-/40156

かなり充実の連載だけれど、これでもほんの一部。1冊通して読むと、もっと勉強になるし、いろんな気づきが得られると思う。

おもしろかったー。夫にも読ませよう。


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