会社員のいいところ。フリーランスのいいところ。
2014年6月8日
もうすぐ会社を辞めてフリーランスになる知人から、先日こんなことをいわれた。
「梅津さんって、楽しそうに仕事してますよね」
そうか、他人からはそんな風に見えているのか。うん。楽しい。正解(笑)。
最近、わたしの周りのいろんな人が「あと20年同じ会社で仕事をしている姿が想像出来ない」という。でも、そんなのフリーランスのわたしからいわせると、「2ヶ月後、どんな仕事をしているのか想像出来ない」という世界ですよ! こちらは。
気が付けば、フリーランス歴ももうすぐ10年。「毎日同じ会社に出社する」ということから遠ざかりすぎて、会社員の感覚をすっかり失ってしまった。わたしが仕事をする相手は会社員の人がほとんどなので、社内のささいな話を聞くのがとても新鮮で楽しい。「愛用している雑誌の付録のポーチをトイレに置き忘れ、ボードに『忘れ物』と写メを貼り出されていて、名乗り出るのが恥ずかしかった」とか(笑)、ほんとにささいなこと。付録のポーチ、丈夫だし何年も使ってるわ~。でもたしかに「梅津さん5年前の付録のポーチまだ使ってるんだ」とか思われると思うとめんどくさい(笑)。
人間関係のグチとか、上司の悪口とか、わたしにとってみたらどれも懐かしい感覚。だって、わたしには同僚もいなけりゃ上司もいませんよ。いるのは犬だけである。
そこで、会社員とフリーランスのいいところをそれぞれ考えてみた。
会社員のいいところ
●人がいっぱいいる
何をいっているんだと思われそうだけど、これってけっこううらやましい! 最近ずっと書籍の原稿を黙々と書き続けていて、夫の帰りも遅いし、1日中誰ともしゃべらないという日もザラ。先月の携帯電話の通話代、驚きの200円ですよ。その前の月は190円。ソフトバンクの人に「今のプランだともったいないので、変えたほうがいいですよ」といわれて変更したくらい。何でそんなに安いんだろと思ったら、かかってくる電話には出るけれど、自分からかける細かいアポ入れなどをあまりしなくなったから、ということに気づいた。いま仕事の連絡もメールやFacebookでやりとりすることも多いし。籠城生活が続くと、久々に外に出ると「世の中には人間がいっぱいいるんだなぁ」としみじみ思ったりする。
●経理の人がいる
これもほんとうらやましい。フリーだと何でも自分でやらないといけないので、請求書の発送から確定申告、税金の支払いなどなど、ほんとめんどくさい。お金のこと苦手すぎて、このわずらわしさから解放されたくて、昨年からは税理士さんに頼んでいる。給料天引きっていいシステムだったんだなぁ……と、つくづく感じる。
●備品が支給される
コピー用紙やインクなどはもちろん、ボールペン、ホッチキス、ガムテープ、ふせんなどなど、今まで勤務していた会社ではぜんぶ支給されていたけれど、フリーだと当然ながら自分で揃えないといけない。そして、コピー機が詰まったりインクがなくなったりしても、いつの間にか誰かが直してくれていたり、取り替えてくれているということは絶対にない。紙詰まりもインク切れもすべて自己管理。インクって高いのよね……。プリンタ本体は安いのに。インクで利益を上げるシステムなのか! と、いつもぶつぶつ考えながら純正インクを取り替えている。純正じゃないと何となく怖いし。
●化粧直しをする習慣がある
お昼ごはんの後にトイレで化粧直しをする。こんな当たり前のことも、フリーだとやらない。直さない。というか家だとすっぴんにネコ耳ヘアバンドで仕事してたりする。トイレで化粧直ししながら「わーそのチークかわいい♪」とか、「ファンデ変えたんだ~」とか、そんなキャピッとした会話をもう10年していない。
●曜日のメリハリがある
「金曜までがんばったら土日は休み!」とか、そういう当たり前のことも自分にはない。曜日感覚ゼロ。GWも連休も、ほとんど関係なく、淡々と仕事をしている。
●(比較的)安定している
今どき会社だっていつどうなるかわからない時代だけれど、とはいえフリーランスよりははるかに安定している。
●給湯室で噂話が出来る
給湯室。なんと懐かしい響き。ポットのお湯でインスタントコーヒー淹れながら、よく他の部署の噂話とか聞いたものである。
じゃあフリーランスのいいところは何なんだと。改めて考えてみた。
フリーランスのいいところ
●昼ごはんを家で食べられる
以前たまたま「平日お昼の家の料理こそ最高の贅沢」というブログ記事を見て、「そうか、家でお昼ごはん自炊出来るって贅沢だったのか」と初めて思った。わたしは外食も好きなんだけれど、住宅街に住んでいるので自宅の周りには1軒のコンビニしかなく、飲食店が一切ない。このため、毎日チャチャッと作って食べる習慣がついた。にぎやかな駅近に住んでいたら、毎日のように外に食べに行っていたかもしれない。自炊だと野菜を意識的にとれるのがいいなぁと思う。そういえばコンビニのお弁当とかおにぎりとか、もう何年も買ってないので、たまに弁当コーナー見ると、あまりの進化ぶりにびっくりする時がある。
●宅配便をいつでも受け取れる
これも、会社員時代を思い出してみると、けっこう苦労したなぁ……。毎日のように夜中まで働く終電族だったので(なので『終電ごはん』が生まれた)、ネット通販の荷物を受け取るのも一苦労。母が毛ガニやメロンを送ってくれる時も、入念に電話で打ち合わせして到着日を決めたものだ。生ものは特に苦労した。なかなか家で受け取るタイミングがないときは、会社に転送してもらうこともあった。今は1日中受け取れない、ということはまずないので、ばんばんAmazonを使いまくっている。
●名刺を好きなデザインに出来る
これ、会社員の人からけっこううらやましがられるので、「そうか、好きな名刺を持てるのはいいことなのか」と思った訳で。飽きたらデザインも替えられる。フリーになった頃はセミオーダーで作っていたのだけれど、今は完全なオリジナル。自分のサイトとデザインを統一している。デザイナーさんにドットを組み合わせて梅っぽいロゴを作ってもらった。
●犬と一緒に仕事出来る
これもまた自分にとっては大きなメリットのひとつ。激務だった会社員時代、先代のチワワはいつも会社に連れて行っていた。犬を歓迎してくれる職場で恵まれていたこともあるのだけれど、毎日12時間以上もひとりで留守番させるのはやっぱりかわいそう。今は朝から晩まで一緒に仕事が出来るので、「自宅兼仕事場っていいなあ」と日々思う。
●満員電車と無縁
これもめちゃくちゃ大事。会社員時代はほんとうにこれがストレスで、嫌すぎてチャリ通に切り替えたくらい。今でもたまに、取材に向かう時間がラッシュの時間にあたると「これ毎日経験している人はほんと大変だな……」と思う。月に一度でも嫌なくらい。
●横になれる
なんのこっちゃと思われそうだけど、ずっと座ってPCに向かっているので腰や背中が痛くなる。そんな時はベッドで横になってストレッチ。この「横になれる」というのは、会社だと出来そうで出来ないので、横になるたびにそんなことを思う。ちなみに昼寝はしない。する習慣がないし、基本8時間睡眠なので昼間に眠くなることもない。
ざっとあげてみたけれど、こんなところかしら。わたしは自己管理が得意で規則正しいフリーランサーなので、今会社勤めに戻れといわれればたぶん戻れると思うけど(というかそんなこと誰からもいわれないけれど)、他にも新鮮に感じることがたくさんあるんだろうなー。「今日のランチどこ行く~?」とか、そんな会話も懐かしいし、「お財布だけ持って外に出る」という行為も懐かしい。「仕事帰りに習い事に行く」とか、そんなことすら懐かしい。
懐かしい。ああ懐かしい。懐かしい。
「会社員っていいもんだなー」と、外野から見てると思うのです。
いろいろな働き方がありますな。
—
【お知らせ】
・梅津有希子のTwitterはこちら
・最新情報はこちら
コメントを書き込む