パスタにスプーンを添える理由とは。JAL『SKYWARD』10月号和パスタ特集

2015年10月8日

ただいまJAL国際線の機内で読める、『SKYWARD』(国際版)10月号で、「和パスタ」特集担当しています。


表紙は日光東照宮


「Pasta Perfect」

へぇ~、こんなタイトルになるのか。なんかカッコいい。
ちなみに、表紙には「Pasta Japanese Style」と書いてある。

「梅津さん英語出来るんだー」といわれますが、全然出来ません笑。

わたが日本語で書いた原稿を、優秀な翻訳者さんが訳してくださるのです。作業工程が多い分、〆切がとても早いのです。
自分の日本語原稿と照らし合わせて読むと、とてもおもしろい。勉強になる。

内容をざっくり説明すると、日本のパスタの歴史をギュッと凝縮したような感じ。日本でパスタを食べる文化が広まったのは戦後以降のことで、当時パスタといえば、スパゲティと具材をケチャップで炒めた「ナポリタン」のことだった。

ナポリタンは、日本に洋食文化を広めたサリー・ワイル氏が初代料理長を務めた、横浜の「ホテルニューグランド」が発祥。元祖ナポリタンは生のトマトをソースに使っていたそうで、現在のようなケチャップで炒めたナポリタンは、同じく横浜にある洋食店「センターグリル」が生み出したもの。サリー・ワイル氏が経営していたホテルで働いていた石橋豊吉氏が独立してオープンしたお店。

流通が発達していない当時の日本では、1年中生のトマトを入手するのは難しく、ケチャップを使って作るようになったのだそう。

パスタ=ナポリタンだった日本に、彗星の如く現れたのが「たらこスパゲティ」。元祖は渋谷のスパゲティ専門店「壁の穴」。1967年頃に誕生したもので、このきっかけがなかなか興味深い。

「壁の穴」は当時NHKの近くに店があり、お客さんの多くがNHK関連の人たちだったそう。常連客だったNHK交響楽団首席ホルン奏者(当時)・千葉馨氏が、海外で買って来たキャビアの缶詰を持参し、「これでスパゲティを作ってほしい」とオーダー。あまりのおいしさに、「似た食材で再現できないか」と、たらこを使って作ったのが最初とのこと。

当時は「アルデンテ」という概念もなかったんだって。そうだよな。わたしが子どもの頃も、スパゲッティといえばナポリタンだったし、麺の中に芯なんて残ってなかったわ笑。

ちなみに「壁の穴」が「アルデンテの茹で上げスパゲッティ」を広めたといっても過言ではない。それくらい、当時はそんな調理法は皆知らなかったのだ。今や茹で上げなんて当たり前じゃないかと思うけれど、当時はそうではなかったのだ。

もう1つびっくりしたことがある。パスタにスプーンを添えるのは日本だけといわれているけれど、これも同店が始めたことだったのだ。もちろん、ちゃんと理由がある。たらこスパゲッティは、器にほぐしたたらこ、バター、塩胡椒、隠し味の昆布粉をあらかじめ入れておき、そこに茹で上げスパゲッティを投入し、スプーンとフォークでザザザッと和えて作る。そのスプーンとフォークを、そのままお皿の縁に添えた、というものだったのだ。

そのスタイルを他店でもマネして、本来パスタを食べるのに必要のないスプーンまで広まっていった、というもの。
もともとは、たらこスパゲッティを作るための調理道具だったのだ。

これはかなりの「へぇー!!!!!」連発であった。めちゃくちゃおもしろい取材だった!

スプーン問題は諸説あると思うけれど、この壁の穴説がもっとも有力だと思う。同店は、日本のパスタ文化において、かなり革新的なお店だったということ。たらこスパゲッティも、今じゃどこでも食べられるけれど、同店のメニューがすごい勢いで全国に広まっていったのであろう。

そしてそして、たらこって英語で「Cod roe」っていうのね。本文に「Cod roe(tarako)」って訳されてる。最初にこう書かれて、その後はtarakoで統一。「Cod roe Spaghetti」ではなく、「Tarako Spaghetti」でよかった笑。

JALで海外に行く人、海外から帰ってくる人、和パスタ特集、10月いっぱい機内で読めますよ~♪


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